島国時々更新日記

日本ではない南の島国で知ったことを書いていきます

【ドイツ】9日(日)からワクチン接種完了または新型コロナから回復した人への規制緩和

現地時間の5月7日(金)、ドイツでは感染症予防法に基づいた COVID-19-Schutzmaßnahmen-Ausnahmenverordnung (新型コロナ予防措置適用除外を定める政令が国会を通過しました。施行は公布の翌日ですので(同政令12条)、9日(日)の予定です。

連邦政府のプレスリリースはこちら。

www.bundesregierung.de

政令はこちら(政令はPDFの3~8ページ)。

https://www.bmjv.de/SharedDocs/Gesetzgebungsverfahren/Dokumente/Verordnungsentwurf_Corona-Impfung.pdf?__blob=publicationFile&v=7

 

この政令の目的は1条にあり、

1. bei denen von einer Immunisierung gegen das Coronavirus SARS-CoV-2 auszugehen
ist oder
2. die ein negatives Ergebnis eines Tests auf eine Infektion mit dem Coronavirus SARSCoV-2 vorlegen können.

(1.新型コロナに対する免疫がある人、または 2.新型コロナ検査で陰性の結果だった人)

に対して、感染症予防法で定める新型コロナ予防措置を軽減または適用除外することです。1に該当するのは、ワクチン接種完了または新型コロナに過去6か月間以内に感染して回復した人です。ただし、マスク着用義務、公共の場所での対人距離確保、手洗い等の衛生措置は適用されます。

具体的に適用が除外される制限は、

Grafik zeigt, welche Erleichterungen es für Genesene und Geimpfte gibt. (Weitere Beschreibung unterhalb des Bildes ausklappbar als "ausführliche Beschreibung")

 → 他人との接触制限の適用除外

 → 外出制限の適用除外

 → 非接触個人スポーツにおける制限の適用除外

 → 店舗や動物園、美容院などへの新型コロナ検査なしでの入店・入場

 → 自主隔離の適用除外、ただし変異株蔓延地域からの入国の場合は除く

 

2番目は、現在、感染症予防法による夜間外出制限の規定があること、3番目はジョギングなどの非接触個人スポーツは1~2人または同一世帯に属する家族のみで行うという規制があることに関連しています。

 

そうすると、今後は「新型コロナに感染していない人」「免疫があり新型コロナに感染しない(感染しづらい)人」となることが、世界的に重要になりそうです。感染から回復した場合だと6か月しか有効ではないので、頻繁に検査を受けるかワクチン接種を受けるかしないと不自由な生活が待っている可能性?少し辛いなあ...。

 

 

 

 

 

 

 

 

【ドイツ】職場での新型コロナ感染予防対策

新型コロナ感染者の発生場所に占める職場の割合

東京都の資料(4月28日モニタリング会議)では、感染者の感染経路のうち14.8%が職場での感染とのこと。

f:id:shimaguniPH:20210503154635p:plain


最も多い感染経路の「同居」ほどではありませんが、職場での感染も防止する必要がありますので、昨年ですが厚生労働省は職場における「取組の5つのポイント」を公表し、労使団体への要請等を通じて周知しています。

 

<5つのポイント>

①テレワーク、時差通勤

②体調がすぐれない場合は休む

③職場を密にしない、マスク着用

④「感染リスクが高まる『5つの場面』」

⑤手洗い等の衛生対策

 

5つのポイントは厚労省がお勧めしているだけであり、法律に基づく要請や決まりではありません。 なお、5つのポイントを具体的な指示にブレイクダウンしたチェックリストを、安全衛生委員会や衛生委員会で活用することも示されています。

そこで職場での感染を防ぐために、ドイツではどのような対策が採られているのか、みていきます。

 

ドイツ:法令を制定(新型コロナ労働安全規則)

ドイツでは、いわゆる労働安全衛生法Arbeitsschutzgesetzes (ArbSchG))に基づき「新型コロナ労働安全規則(SARS-CoV-2-Arbeitsschutzverordnung(Corona-ArbSchV))が制定されています。2021年1月に制定され施行されており、現在までに3回改正されています。

制定や改正の経緯やその都度の内容はこちら。

www.bmas.de

規則はこちら。

www.gesetze-im-internet.de

 

新型コロナ労働安全規則の概要

第1条 目的および適用範囲

この規則の目的は、業務遂行における新型コロナ感染のリスクを最小限にすることおよび従業員の安全と健康を確保することです。

第2条 職場における接触を減少させる措置

まず使用者には「新型コロナ労働安全基準(SARS-CoV-2-Arbeitsschutzregel)」を考慮した措置を講じることを求めています。また人と人との接触を減らすために、特に休憩中も含めて複数人で同一空間を共有することを避けること、やむなく複数人で同一空間を共有する場合には10平米につき一人という人数制限をし、スペースの都合などで不可能であれば換気・衝立・マスクなどで従業員を保護することを求めています。

第3条 職場における衛生計画

前条と同じく、新型コロナ労働安全衛生基準を考慮した措置を講じることを求めています。

第4条 口および鼻の保護

マスク着用という意味です。もし第2条のとおりに接触を減らせない場合、もしくは1.5メートルの退陣距離を保てないとか建物内にある就業場所への行き来が必要である場合には、使用者は従業員に医療用マスクを提供する必要があります。従業員も提供されたマスクを着用する義務があります。

第5条 新型コロナ検査

職場における感染のリスクを最小限にするため、在宅勤務ができず出社が必要な従業員に対して、使用者は最低週2回の新型コロナ検査を提供しなければなりません。なお従業員に検査を受け入れる義務はありません。

第6条 効力の発生と失効

この規則の効力は最長で6月30日までです。

 

在宅勤務は?-感染症予防法に規定

在宅勤務(Home-Office)の利用については、当初は新型コロナ労働安全規制に定められていましたが、現在は感染症予防法( Infektionsschutz-Gesetz (IfSG))の第28b条(7)に移動しました。

ここでは、使用者が従業員の業務が在宅で遂行可能であれば在宅勤務を申し出なければならないこと、従業員も在宅勤務ができない理由がない限りこれを受け入れなければならないことが定められています。

(※最長で6月30日まで。)

在宅勤務に関しては、当初は「在宅勤務権」を恒久的に法定化しようという声がありましたが、新型コロナの場合に限定したものとなっています。

www.jil.go.jp

まとめ

日独で、職場および通勤での新型コロナ感染予防のために行政が求めている内容は、ほぼ同じのようです(主に密を避ける、消毒、マスク、在宅勤務)。

ですが、法令とするか純粋な呼びかけとするかで、実効性に差が生じる可能性があること、またドイツでは全国的に現在は検査が拡充されている一環で職場でも検査が重視されていることが、指摘できるでしょう。

 

「ワクチンパスポート」と基本的人権

新型コロナ感染拡大開始から1年以上経ちました。世界の人々の関心事の方は少しずつ変わってきておりまして、最近は観光やビジネスで「遠くに行きたい」という要請に応えられるのか?ということがトピックスの一つになっております。

 

「ワクチンパスポート」:新型コロナワクチン接種証明書

現在入国に際して、「入国前に実施した新型コロナの陰性証明書が必要」としている国(例:ドイツ)や「陰性証明書またはワクチンの接種(2回接種が必要なものは2回完了)があれば、自主隔離なしの入国を認める」とする国(例:ポーランド)などがありますが、紙の証明書なんてすぐに偽造できてしまいます。

案の定、セブ島ではすでに偽造事件が発生。コロン・ストリートは色んなものが売っているなあ...。

cebudailynews.inquirer.net

 

ということで、スマートフォンの画面に偽造不可能な証明書を表示させる、どの国でも表示言語を気にせず使える、という「ワクチンパスポート」導入の議論が進んでいます。

アメリカでは現在のところ、ワクチンパスポートの導入はないようです。

www.bbc.com

反対にEUでは、ワクチンパスポート導入に積極的です。

www.bloomberg.co.jp

日本は態度保留中です。

www.sankei.com

デジタル立国で有名なエストニアでは、EUでの導入前に独自のワクチンパスポートを開始しています。

medicalxpress.com

"We are planning to have our certificates ready in April together with our partner Guardtime," said Kalle Killar, undersecretary for e-health and innovation at the ministry.

ということで、政府とエストニア民間企業のGuardtimeという会社と共同で開発運用しているそうです。ここは小規模国家なので、「テストベッド」として機能しやすいとか。

guardtime.com

 

ワクチンパスポートのデメリットや問題点?

とりあえず便利そうな制度ですが、新しいものには想定外のデメリットや問題点があるのが通常で、特に今回は健康関連情報というセンシティブなものを扱うのですから、慎重になるべきでしょう。

エストニア人、違和感を覚えて反発とかしないの?」と思っていたら、すでにそちらの方にも考えが及んでおり、4月12日にタリン大学がウェビナーを開催して、ワクチンパスポートを基本的人権の観点から考察したワーキングペーパーを公表していました。

 

www.tlu.ee8

このページでダウンロードして読めるワーキングペーパーは、欧州科学技術協力機構(COST)の助成を受け23か国の研究者と共同でまとめた比較研究です。論稿自体は16ページ。

筆者の考えでは、日本では省庁の審議会に先立って研究会を開催し、情報収集や論点整理を行うように、このワーキングペーパーはワクチンパスポートを実用化する際にEUが参考にするものの一つになるんじゃないかと思います。

 

ワーキングペーパーの内容は?

タイトル:「論説:新型コロナ『ワクチンパスポート』」

目次:

EUレベルのワクチンパスポート
 ポジティブな面
 ネガティブな面

想定される「ワクチンパスポート」により生み出される人権保護に対する課題
 プライバシー権
 データ保護
 非差別性

民間企業に「ワクチンパスポート」を基に制限を強制させる国家規制の存在

公共の場および公共サービスへのアクセスに関する基本的権利の行使について、「ワクチンパスポート」を基に制限を強制させる国家規制の存在
 リトアニアの例

人権の観点からの、「ワクチンパスポート」のアイデアに関連した主な実務上の課題と基本的な懸念
 実務上の課題
 基本的な懸念

推奨

 

「ポジティブな面」としては主にコロナ時代の人の移動に資すること、「ネガティブな面」としてはワクチンを打った/打っていないで移動の自由に差が生じる差別性、および、コロナ関連規制において打った/打っていないで分断が生じ「打っていないと二級市民」という流れができかねないことが指摘されています。

プライバシー権、データ保護、非差別性」のところでは、ワクチンパスポートについてのモヤモヤが3つの類型に整理可能なことが分かります。

そして「実務上の課題」では、政治的合意に至る難しさ、法的枠組み、「ワクチンパスポート」といった場合の内容や定義の共通化の困難さ、実施および運営におけるデータ保護が挙げられています。

そして最後の「推奨」では、差別性解消のためにワクチン以外の代替として陰性証明書の提示も認められるべきであること、EUと加盟各国が可及的速やかにEUレベルでのワクチンパスポートの枠組みに合意するべきこと、各国が独自の制度を作ってしまうとEUレベルでの統一が難しくなること、法的枠組みを作る際には差別性解消の視点に加えて民間企業がワクチンパスポートを基に何らかの規制を課すことの法的裏付けや運用モデルを組み込むこと、を求めています。

 

以上、恐らくワクチンパスポートの技術的な面や活用場面に関心が高まりがちかもしれませんが、法律上の論点や解決策についても整理する動きがあるということでした。

 

 

【EU】自宅待機など行動制限の解除の時期や方法は?【コロナ後】

コロナウイルスの感染拡大防止のため、世界各国で強制的lockdown、そしてStay Home、quarantine、curfewの義務付けもしくは呼びかけが行われています。そのおかげか、感染者数や死者数の増加が鈍化しつつある国や地域も見られ、徐々に行動制限の解除や経済活動の再開も視野に入ってきます。

アメリカでは4月16日にトランプ大統領が、今後数か月で経済活動を再開するガイドラインを発表しています。

www.bbc.com

 

EU欧州委員会)も4月15日に行動制限解除のロードマップを発表しました。

ec.europa.eu

 

アメリカの行動制限解除に比較するとEUの行動制限解除に関する報道量は少ないのですが、下記の記事が上記の欧州委員会の報道発表をコンパクトにまとめています。

www.jetro.go.jp

www.bloomberg.co.jp

アメリカとEUの行動制限解除の考え方に共通しているのは、ある日を境にいきなり行動制限を解除するのではなく、「段階的に(phase out)」解除していくということです。

EUのロードマップの概要については上記二つの記事に説明を譲って、このブログでは「ロードマップのベースにある考え方」について見ていきます。EUのプレスリリースには欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は次のような発言があります。

“Saving lives and protecting Europeans from the coronavirus is our number one priority. At the same time, it is time to look ahead and to focus on protecting livelihoods. Even though conditions in the Member States still vary widely, all Europeans rightly ask themselves when and in what order the confinement measures can be lifted. Responsible planning on the ground, wisely balancing the interests of protection of public health with those of the functioning of our societies, needs a solid foundation. That's why the Commission has drawn up a catalogue of guidelines, criteria and measures that provide a basis for thoughtful action. The strength of Europe lies in its social and economic balance. Together we learn from each other and help our European Union out of this crisis.”

コロナウイルスから命を救いヨーロッパの人々を守ることは、我々が一番重視していることである。同時に、現在はこの先を見すえて人々の生活を守ることに力点を置く時期でもある。EU加盟各国の状況は各国ごとに非常に異なっているが、すべてのヨーロッパの人々が行動制限措置の解除の時期や順番の可能性について当然ながら疑問に思っているところだ。責任ある計画を基礎にすること、公衆衛生の保護という利益と社会の機能という利益を上手にバランスを取ること。これらのためには確固たる基盤が必要である。それゆえ、欧州委員会は思慮のある行動のベースとなる一連のガイドライン、基準、方法を策定した。ヨーロッパの強みは社会的な事柄と経済のバランスを取るところにある。我々は一丸となって、お互いに学びあい今回の危機からEUを救うのである(強調は筆者による)。)

 

 

また、委員会の委員の一人は、

Until effective treatments and a vaccine are found, we will have to learn to live with this virus.

(効果のある治療法とワクチンが見つかるまで、我々はウイルスと共存することを学ばねばならないだろう(強調は筆者による)。)

 

と述べています。

 

なんとなくですが、日本では5月6日の緊急事態宣言期限が来れば(可能なら)全部が一度に解除されるだろうとか、感染者が出なくなれば解除されるだろうとか、そのような感じで受け止められているんじゃないかと思っていますが、この先肝心なのは「ウイルスはいなくならないので、どのように折り合いをつけて生活していくか?」ということになりそうです。

 

いずれにせよ、日本より先にロックダウン的なものを開始した国がどのように解除していくのか、観察して参考にすることができるでしょう。

 

【フィリピン】続・生産性賃金について

3月18日の記事では、フィリピンでの賃金制度のことが分かる資料が日本よりずっと少ないこと、生産性賃金の導入を政府が勧めていることを書きました。今回は若干ですが内容を深めたいと思います。

 

1.フィリピンの最低賃金制度の歴史


フィリピンの最初の最低賃金Minimum Wage Law、共和国法第602号)が成立したのは1951年と(意外と)昔のことで、日本の最低賃金法成立が1959年ですので、実に8年もフィリピンの方が日本より先んじていました。第二次大戦後はフィリピンは繁栄していたという話は、詳しくは井出譲治『フィリピン-急成長する若き大国』(2017年、中公新書)の11ページ以下をどうぞ。

1951年法は、
・公労使三者構成の全国レベルの賃金委員会Wage Boardを創設、
・全国一律の最低日給額(マニラの非農業労働者、マニラ以外の非農業労働者、農業労働者の3グループ)を決定、
というのが主な内容です。全国一律の最低日給額ですので、各地の物価差が考慮されていないなど様々な問題がある制度だったようです。

そのため1989年に現行法である賃金合理化法Wage Rationalization Act、共和国法第6727号)を成立させ、全国一律の最低額を廃止しました。賃金合理化法では、
・国レベルの公労使三者構成の全国賃金生産性委員会National Wages and Productivity Commission (NWPC) を創設、
・全国17の地方に公労使三者構成の地方三者賃金生産性委員会Regional Tripartite Wages and Productivity Boards(RTWPB) を創設、
・各地方の地方三者賃金生産性委員会がそれぞれの地方ごとの最低日給額を決定する、
という仕組みが採用されています。

今回の記事との関係で指摘したいのは、1951年法の目的は最低賃金制度のみでしたが1989年賃金合理化法は最低賃金制度だけではなく生産性の向上および企業利益の労働者への分配も法の目的にしていることです(同法2条)。1989年法成立により、生産性賃金の導入が開始されました。

 

2.最低賃金を決定する機構


日本の労働関係法令は労働基準法労働組合法、職業安定法...、と法律の目的ごとに別々に分かれていますが、フィリピンの場合は基本的には労働法典Labor Codeとして一つにまとめられています。ですので、賃金合理化法の内容もほとんどが労働法典の方に移されています。なお本ブログでは、こちらの労働法典の日本語訳を参考にさせてもらっています。

 

全国賃金生産性委員会の役割(労働法典121条)
121条はこの委員会に9つの役割を与えており、主には、
・賃金、収入および生産性に関する事項について、フィリピン大統領と議会に対する相談および助言機関として活動すること(同条a項)、
・ 企業、工業および国家レベルでの賃金、収入および生産性の向上に関する政策およびガイドラインの策定をすること(b項)、
・ 地方、州、または産業レベルで適切な最低賃金および生産性を決定するための規則および細則を作ること(c項)、
などとされています。

すなわち、全国に17ある地方三者賃金生産性委員会をまとめる司令塔であり、これら委員会と国家をつなぐ役割ということです。また最低賃金と職場の生産性の両方を視野に入れています。

 

地方三者賃金生産性委員会(労働法典122条)
122条はこの全国17地方に設置される委員会に6つの役割を与えており、主には、
・各地方の賃金、所得および生産性向上に関する計画、プログラムおよびプロジェクトを開発すること(同条a項)
・各地方、州または産業に適用する最低賃金率を定め、委員会の策定するガイドラインに従って対応する賃金命令を発出すること(b項)、
などとされています。

すなわち、具体的な最低賃金額を定めること、生産性などに関する賃金の指導や啓発を行うことが役割ということです。

 

3.生産性賃金の歴史(その1)


最低賃金制度の改革と同時に生産性を考慮した賃金という概念が提唱されたのですが、さらに1989年賃金合理化法の翌年1990年に生産性奨励法Productivity Incentive Act、共和国法第6971号)ができました。この法律の2条はその目的を次のように規定しています。

SECTION 2. Declaration of Policy. It is the declared policy of 'the State to encourage higher levels of productivity, maintain industrial peace and harmony and promote the principle of shared responsibility in the relations between workers and employers, recognizing the right of labor to its just share in the fruits of production and the right of business enterprises to reasonable returns of investments and to expansion and growth, and the accordingly to provide corresponding incentives to both labor and capital for undertaking voluntary programs to ensure greater sharing by the workers in the fruits of their labor.

 

第2条 政策の宣言 生産の成果を労働者も享受する権利があることに鑑み、また企業に投資の合理的な見返りや事業の拡大と成長を享受する権利があることを鑑み、そのため、労働者の労働の成果を労働者自身が今まで以上に分配されることを確保するための自発的なプログラムの実行を、労働者側と資本側の両方が連携して取り組むよう促すために、国家は生産性向上の促進、産業の平和と協調の維持、労働者と使用者の間の関係における責任の共有原則の促進を行うとするのがこの法律の宣言する政策である。)

 

 

日本の生産性三原則は、①雇用の維持拡大、②労使の協力と協議、③成果の公正な分配ですので、概念的には同じことを言っています。

生産性奨励法では、任意で企業内に労使委員会を設置すること、労使委員会での話し合いにより生産性奨励プログラムを導入して生産性ボーナスを支給することが定められています。またこの法律の細目を定める施行規則もあります。

 

続きはまた後日。

 

でもね、ここで紹介した法律の立法過程とか立法趣旨とか、国会での審議状況とかググってもググって出てきた文章の脚注見ても分からないのよね...。マニラのどこかに行けばそういう資料があるんでしょうか?

会社のフィリピン人顧問弁護士によれば、フィリピンは判例法の国だから立法過程とか関係ないので考えなくてもいいみたいなこと言ってましたが。