島国時々更新日記

日本ではない南の島国で知ったことを書いていきます

フィリピンにおける「貧困」の「判断基準」

今日4月10日、フィリピン統計庁は "Proportion of Poor Filipinos registered at 21.0 percent in the First Semester of 2018" というタイトルで、全人口のうち「貧困」と判断される国民の割合が2015年第一四半期の27.6%から2018年の同時期は21.0%に減少した、と述べました。

 

www.psa.gov.ph

この貧困率の減少についても実際本当かどうかなど議論があると思いますが、疑問なのは「貧困」の「判断基準(threshold)」です。

一家5人の最低限の食料にかかる食費は月に平均すると7,333ペソ、食費にその他最低限必要な費用を加えると月に平均すると10,481ペソであるので、この基準以下の人々を「貧困」と判断しています。

いやいやいや。私、弊社の福利厚生で住居費と水道電気代とスマホ通信費を負担してもらっていて、昼食費補助も平日は毎日100ペソもらっている状態で、夜は外食はほとんどせずお酒も飲まず日本の食材も買わずスタバなんかも行かず、服も日本から持ってきたものを着てこっちで買わずと、ひたすら切り詰めた生活を送っていますが(現地採用なんで安月給)、それでも毎月20,000ペソは掛かっていますよ?

この地方の正式に雇用されているローカルの平均月収が10,000ペソ前後じゃないか、10,000ペソでは一人暮らしの生活がぎりぎりだよね、なんて耳にする中で、5人家族で10,481ペソで暮らすという線引きをしたことに違和感を覚えますし、そんな低すぎと思われる判断基準でも全人口の21%がそれ以下の暮らしだなんて、「毎年経済成長してこの国に入ってきているお金は一体どこに行っちゃっているのか?」という思いです。

しかも1日あたり1人何ドルになるか計算すると1人あたり1.3ドルという、世界銀行の貧困ライン1.9ドル以下という…。

 

【4月13日追記】

7,333ペソ/10,481ペソの線引きに対して、民間シンクタンク IBON Foundationが「貧困状態のフィリピン人はもっと多い」と反論しています。統計庁の貧困判断基準は「食料、住居、交通、公共料金、ヘルスケア、教育についての decent な最低基準には達していない」という主張です。

news.abs-cbn.com

ところで decent って適当な日本語訳はないもんですかね?ディーセントワークとか、そのまま使うのも事情は分かりますがどうにかして日本語訳ができないものかとも思います。