島国時々更新日記

日本ではない南の島国で知ったことを書いていきます

【世銀報告】フィリピン海外出稼ぎ労働者(Overseas Filipino Workers: OFW)の母国送金

世界銀行は、この4月8日に「移民と発展に関する報告書(Migration and Development Brief)」の第31号を公表しました。

Migration and Development Brief 31 | KNOMAD

これは母国の外で働く移民と母国への送金の全世界的な動向に関する報告書であり、低~中所得の発展途上国からの国外出稼ぎ労働者が母国に送金した額は2018年に過去最高になったと述べています。母国への送金額が多い国は、一位がインド(790億ドル)、二位が中国(670億ドル)、三位がメキシコ(360億ドル)、四位がフィリピン(340億ドル)、五位がエジプト(290億ドル)でした。

 

〇この報告書のフィリピンに関する部分

フィリピンは2017年は世界で3番目に母国への送金額が多かった国だったのですが、主要な出稼ぎ先の一つであったクウェートでフィリピン人労働者が使用者に虐待され死亡した事件があったことから、2018年1月にフィリピン政府は同国への派遣を一時停止する措置をとりました。4か月後の5月にこの措置は全面的に解除になったとはいえ、この間の送金額落ち込みが影響したとのことです。

〇この報告書の日本とフィリピンに関する部分

日本はこの4月から新しく「特定技能」の就労ビザが開始されており「特定技能1号」では日本語試験の合格が必要とされています(2号は日本語試験不要)。この1号ビザのための日本語試験は、ベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマーカンボジア、ネパール、モンゴルの9か国で実施されることから、報告書はこの9か国からの労働者流入の増加を予想しています。日本とフィリピンは3月に覚書に署名しており、これによりフィリピン政府は "is seeking to capitalize on the new demand, particularly for skilled workers, and anticipates filling nearly 100,000 of the possible positions" ということで、日本での出稼ぎに大いに期待しています。

 

さて、世界銀行発展途上国の人の先進国への移民を世界の貧国撲滅につながると評価しています。

国際的な人の移動が世界の貧困撲滅に貢献―世界銀行新報告書

これはフィリピンにも当てはまるのか、次回考えてみたいと思います。