島国時々更新日記

日本ではない南の島国で知ったことを書いていきます

【ドイツ】連立協定書:新政権の対中政策

現在のところ、国際的な人権問題の中心テーマは中国における人権侵害や外交・経済関係になっていますので、まず、この点からみていきます。

連立協定書の130ページ(PDF131枚目)からが「Ⅶ. 欧州と世界に対するドイツの責任」で、対中国政策は157ページ(158枚目)にあります。

https://www.spd.de/fileadmin/Dokumente/Koalitionsvertrag/Koalitionsvertrag_2021-2025.pdf

 

Wir wollen und müssen unsere Beziehungen mit China in den Dimensionen Partnerschaft, Wettbewerb und Systemrivalität gestalten. Auf der Grundlage der Menschenrechte und des geltenden internationalen Rechts suchen wir die Kooperation mit China, wo immer möglich. Wir wollen im zunehmenden Wettbewerb mit China faire Spielregeln. Um in der systemischen Rivalität mit China unsere Werte und Interessen verwirklichen zu können, brauchen wir eine umfassende China-Strategie in Deutschland im Rahmen der gemeinsamen EU-China Politik. Wir wollen die Regierungskonsultationen fortsetzen und stärker europäisch ausgestalten. 

(我々は中国との関係を、パートナーシップ、競争そして体制上のライバルという次元において構築を望み、構築しなければならない。人権という基盤と現行の国際法に基づき、我々は可能な部分において中国との協力を模索する。我々はますます増える中国との競争において、公正なルールを望む。中国との体制上のライバルという関係において我々の価値観と利益を実現させるために、EUの対中国政策の枠内で、ドイツは包括的な中国戦略が必要である。我々は政府間の協議を進め、欧州としてこれを強化していくことを望む。)

 

Wir streben eine enge transatlantische Abstimmung in der China-Politik an und suchen die Zusammenarbeit mit gleichgesinnten Ländern um strategische Abhängigkeiten zu reduzieren. Unsere Erwartung an die chinesische Außenpolitik ist, dass sie eine verantwortungsvolle Rolle für Frieden und Stabilität in ihrer Nachbarschaft spielt. Wir setzen uns dafür ein, dass territoriale Streitigkeiten im südund ostchinesischen Meer auf Basis des internationalen Seerechts beigelegt werden. Eine Veränderung des Status Quo in der Straße von Taiwan darf nur friedlich und im gegenseitigen Einvernehmen erfolgen. Im Rahmen der Ein-China-Politik der EU unterstützen wir die sachbezogene Teilnahme des demokratischen Taiwan in internationalen Organisationen. Wir thematisieren klar Chinas Menschenrechtsverletzungen, besonders in Xinjiang. Dem Prinzip „Ein Land – zwei Systeme“ in Hong Kong muss wieder Geltung verschafft werden. 

(我々は対中国政策について、大西洋横断的な調整を希求し、価値観を共有する国々と戦略的相互依存を減らすために協働する。我々が中国の外交政策に期待するのは、中国の近隣諸国における平和と安定に対して、中国が責任ある役割を果たすことである。我々は、国際海洋法に基づき、中国の南および東側の海域での領有戦略の調停について貢献する。台湾海峡の現状変更は、平和的かつ双方の見解を聴取することのみで解決可能である。EUの一つの中国政策の枠組みの中で、我々は台湾が国際機関に事実上参加することを支持する。我々は中国の人権侵害、とくに新疆におけるものを、明確にテーマとして扱う。香港における「一国二制度」の原則は、再び効力を持たせなければならない。)

 

このように、新疆での人権問題がはっきりとした言葉で取り上げられています。

社会民主党SPD)の選挙公約緑の党選挙公約自由民主党選挙公約のうち、明確に新疆の状況について言及していたのは緑の党の選挙公約(228ページ、下記引用参照)だけでしたので、この部分は緑の党の主張が盛り込まれたということだと思います。

 

China ist Europas Wettbewerber, Partner, systemischer Rivale. Wir verlangen von China ein Ende seiner eklatanten Menschenrechtsverletzungen, etwa in Xinjiang und Tibet und zunehmend auch in Hongkong. 

(中国は欧州の競争相手、パートナー、体制上のライバルである。我々は中国による、例えば新疆とチベット、そして香港での明白な人権侵害を終わらせることを要求する。)

 

サプライチェーンデューディリジェンス法はメルケル政権下で制定され、最近はメルケル政権時代の対中国関係は、下記の記事で「ドイツと中国の近しい関係はメルケル政権の4期16年で拍車がかかった。...(中略)現在、ドイツは自動車や化学メーカーを中心に企業5000社以上が中国に進出し、自動車生産は400万台超と本国を上回る」と指摘されているように、「近すぎだったのでは?」と総括される傾向にあるでしょう。

mainichi.jp

このような時期に制定された法律は、新政権では、制定当初に想定していた解釈や運用より厳しくなることが考えられます。